傾聴とは

傾聴とは

 「傾聴」とは、コミュニケーションスキルの一つです。主にカウンセラーやコーチングのコーチのような対人援助職が、クライアントとの対話において絶対的に必要としているものです。また、企業でもマネージャーとして必須のスキルとしている所も多くみられます。

人の話をただ聞くのではなく、深く丁寧に「聴」という漢字の如く、耳、目、心を話し手に傾けること。自分の訊きたいことを訊くのではなく相手が話したいことを受容的・共感的な態度で真摯に“聴く”ことを傾聴と言います。

 

傾聴の3条件

 1982年にアメリカで「20世紀にもっとも影響の大きかった心理療法家」として第1位に選ばれたカールロジャースが、傾聴におけるカウンセラーの態度やかかわり方の条件として主に以下の三つを挙げています。

 

●無条件の肯定的配慮
 クライアント(話し手)がどのような状態であっても、その存在をカウンセラー(聴き手)が受け容れる態度です。一人ひとりが、かけがえのない人間として異なった価値観、考え方、感じ方をするものとして、クライアント(話し手)を尊重するかかわり方です。
●共感的理解
 クライアント(話し手)の主観的な見方、感じ方、考え方をその人の立場に立って自分の主観のようにとらえ、感じ、考えたりしようとすることです。
●自己一致
 自己一致はクライアント(話し手)側ではなく、カウンセラー(聴き手)側が自分自身も一人の人間として感じ考えていること、価値観、体験に気づいている状態です。それを否定したり必要以上によく見せたりせず、あるがままの自分を受け容れて、クライアント(話し手)の前で存在していることです。

 

傾聴の効果

 傾聴によりカウンセラー(聴き手)はクライアント(話し手)への理解を深めていきます。クライアント(話し手)もまた自分自身に対する理解を深め納得のいく判断や結論に到達することができるようになります。アドバイスや指示を受けたのではなく、自分自身で解決への道を見つけたという事実により自分に自信が持てるようにもなります。
人は人から理解され、わかってもらえたと思った時、心に変化が生じます。
その変化のプロセスは真に自分に向き合う力とつながり、自らを成長させていきます。
自分自身のあるがままの姿を十分に受け容れることができたとき初めて自分を変えていくことができるのです。

 

傾聴の奥深さ

 簡単なようでも傾聴の奥深さは、聴くことで、こんなにも人の考えが深まり、気づき、変化していくのだということを体感できるところにあると思います。
真剣に傾聴しているとクライアント(話し手)とカウンセラー(聴き手)はまさに響き合い共鳴し合うことができるのです。そこには“人”と“人”が、お互いを大切に思いやる自然な慈しみの愛が生じてきます。それにより、傷ついたクライアントを癒しながら、かたくなったり偏ったり絡み合ったりしている物事の捉え方、感じ方をゆっくり変えていくことができます。

☆日常のあらゆるところで傾聴は役にたつ
 例えば営業で・・・
営業と言えば売りたい商品を一生懸命プレゼンする話す技術も重要ですが、その前に顧客の本当に欲しいものは何か、課題は何かを聴くことから始まると思います。もしかして顧客は課題自体が何なのかもわからないかもしれません。そういった時こそ傾聴の出番です。相手を尊重し自分のことのように共感し、あるがままの自然体でじっくり聴くことにより、お客様はどんどん話されるでことでしょう。そのお話の中で役にたつ自社製品があるかもしれませんし、その時点ではなくても、お客様との信頼関係が築かれることにより、その後の受注につながる可能性を創ることができます。
 例えば職場で・・・
 上司と部下。日頃少しの時間でも部下に声をかけ、部下の話すことに3条件の態度で聴くことにより、部下自身が問題に気付くこともあります。そこまでいかなくとも、信頼関係を築くことはできます。飲み会で信頼関係が築ければ良いですが、アルコールが入った中での傾聴はかなり難しいでしょう。
 例えば恋人や夫婦、親子で・・・
 会話の中で不平、不満を聞くと、聴き手は、つい防衛的になったり、問題解決思考に走ったりしてアドバイスや指示を出してしまうことがあります。よく聞かれる会話で「夫は全然話を聴いてくれない。」夫は「いやいや、聞いているよ。」ということがあります。
どちらも事実で、妻は傾聴(受容や共感、自己一致)を内心求めていて、一方で夫は(これは力になってやらねば)と瞬時に考え指示的になってしまうのです。
一度は受け容れ、共感することは、関係性を深めていく中では大事なことです。

 

傾聴は意外と難しい

 傾聴は、簡単なようで習得は意外と難しいものです。プロのカウンセラーも時々自分の傾聴力をチェックしないと自身が取り入れているセラピーに偏り、傾聴力が落ちてしまうことがあります。プロも日々研鑽が必要だと考えています。

 

リリオールの「プロの傾聴」セミナー

 傾聴が必要な対人援助職等に向けた傾聴トレーニングです。
 傾聴の3条件に弁証法、統合、愛のキーワードを加え、プロの傾聴とは、どういうものなのかを学んでいきます。
このような方にお勧めです
・傾聴を学んだけれど、できているのか自信がない
・自身の傾聴の癖を知りたい
・プロとしての傾聴メンテナンス
・少人数でトレーニングしたい
・人間性を磨きたい

おすすめ対象職種
・心理職
・医療職
・教育関係
・士業の方
・その他、対人援助職で仕事をしておられる方、傾聴を日常生活、仕事で活かしたいと思われている方など、傾聴を少しでも学んだことのある方なら、どなたでもご参加いただけます。

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